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貴方を思い出すと私は哀しい

呉西しの さんが、綴ったり綴らなかったり。ノベルとか小説とか書いています。御用の方はonisisino@gmail.com まで。HP: http://onisisino.xyz

執筆する人に読んで欲しい「下読み男子と投稿女子」レビュー

雑記

読んだ本のレビューです。

アフェリエイトもなく、ただ個人的にいいと思った商品を書いています。

茶番もあります。

なるべく、ネタバレなどは控え、購買意欲をかきたてられればなぁ……なんてうぬぼれています。

 

 

 

過去レビュー

灰色のマリエ

 

onisisino.hateblo.jp

 

 

 

 

 

 

 

 ある日の呉西。

 

「あー、今日も一杯書いたわー。この調子なら投稿、間に合うな。さて休憩がてら勉強中の恋愛小説でも読むか」

 

 積んでいる読みかけの本を手に取り数分。

 

「なるほどなー。こういうところがキュンとくるのか。こういう表現方法もあるのか~。この知識を早速生かして、もう一度執筆はじめるか」

 

 そうしてもう一度椅子に座り、今日書いた部分を読み直すも落ち込む。

 

「私の小説、

     全然面白くない……」

 

 呉西はこんな日々がよくあります。少しでも面白い作品が書きたい。妥協したくない。けれど、悶々と考えているうちに結局「この作品、何が面白いの?」と病みます。

 しっかりプロットを組んでいると多少は緩和されるこの病みですが「面白い」を追求する「探究心」は、執筆するうえで切っても切れないものですよね。

 

 

 

 さて、前置きが長くなりましたが今回レビューさせていただく作品はこちら。

 

 『下読み男子と投稿女子』

 

作者:野村美月 先生

作品:“文学少女”シリーズ

略歴:大学在学中にデビューすることを望んでいたが、それが叶わず卒業後に就職するも一年で退社、本格的に新人賞への投稿を開始し、2001年、『赤城山卓球場に歌声は響く』で第3回ファミ通エンタテインメント大賞(現・えんため大賞小説部門〈最優秀賞〉を受賞した[1]。翌年同作品でデビュー、続いて『フォーマイダーリン!』『天使のベースボール』と、3か月連続で作品が刊行された。

 Wikiより

 

 

あらすじ

「わたしに、ライトノベルの書きかたを教えてください」

平凡な高校生の青は、実はラノベ新人賞の下読みのエキスパートだ。そんな彼は、ある日応募原稿の中に、同じクラスの氷ノ宮氷雪の作品を見つける。""氷の淑女""と呼ばれる孤高の少女が、フォント変えや顔文字だらけのラノベを書いて投稿している!? 驚く青だが、その後ひょんなことから彼女の投稿作にアドバイスをすることに。評価シートに傷つく氷雪をあたたかく導き、世界観、キャラ設定、プロットと、順調に進んでいくが……。爽やかな青春創作ストーリー!..

 

 

読みどころ

 執筆や応募をする人なら、少しは気になる下読みという仕事。主人公は高校生をしながらそんなアルバイトをしています。主人公のいいところは「ノベルが本当に好き」だということ。けして投稿された作品を馬鹿にすることなく、真っ直ぐに向き合うその姿勢に胸が熱くなります。

 そして、ヒロインの氷雪(ひゆき)が主人公にラノベの書き方を教えてもらうところは、おもわず「なるほどなぁ」と言葉が漏れました。

 

 作品の全体的な印象として某少年誌の言葉を借りるとするならば「努力・恋愛・勝利」というところでしょうか。

 

 

残念に思ったところ

 先ほど「努力・恋愛・勝利」と書きましたが、良くも悪くも単調です。勿論、盛り上がる部分もあるのですが話の先が読めてしまい、特別ドキドキしたり、ハラハラすることはありません。

 ですが「恋愛ドラマ」に「バトルシーン」を望まないように、これはこういう作品だと思うと不満はないのかもしれません。読む人によっては物足らなく感じてしまうかもしれませんね。

 

 

取り入れれるなら取り入れたい文法例

 全体的に綺麗で、わかりやすい文章です。

 変に飾ることもなく、読むだけでその場の情景が簡単に想像することができます。それが意外と難しく、つい「カッコよくしよう」「雰囲気をだそう」としてゴテゴテな文章になってしまうことはよくあることだと思います。

 

 まず、冒頭から

――読むのは好きか? 青?

――うん! 大好きだ!

 

 そんなふうに、青の秘密のバイトははじまった。

 

冒頭三行より引用

 

 

 特別引き込まれる冒頭ではないかもしれません。

 だけどまず「下読み男子~」という題名に惹かれて書店でこの本を手をとり、この冒頭であったとするならば、ここで「面白くなさそう」とはならないと思います。

 せいぜい「本読むのが好きなのね。だからした読みしてるのかな」くらいだと思います。

 

 

 高校の夏休みに突入し、急いで帰宅する主人公青。

 玄関には下読みの原稿が届いていたシーン。

 

 弾む声で答える青の目は、玄関の入口に積み重ねられたダンボール箱に早くも釘付けだ。全部で三箱もある! どれも限界まで中身を詰め込んであり、表面が膨らんでいる。なんの変哲もないクラフト色の――けれど静謐(せいひつ)で神聖な空気をまとっているように見える箱を、青は唇をゆるめ、瞳を輝かせ、わくわくと眺めた。 

 五ページ目より引用

 

 静謐(せいひつ)は、ちょっと使わない言葉かもしれませんが主人公が届いた作品をどれだけ楽しみにしていたかがわかります。

 ダンボール箱パンパンに詰まった原稿の中に「もし自分の作品が入っていたら……」なんて想像するとワクワクしませんか? こんなふうに心待ちにしてもらえるなんて……と考えると楽しいですよね。

 

 このように読者に簡単に想像してもらえる書き方はとても素晴らしく、是非参考にさせていただきたいと思いました。

 

 

 

最後に

 この作品は、読みやすさ、親しみやすさがあります。

 また、もっと深く考察するとすれば作品を通して、執筆している時に読み手を意識して書かれているのかなと思いました。

 まず「下読み」という単語で執筆している人のアンテナにかかるということ。執筆している人に、投稿女子である氷雪に共感してもらい、下読み男子である青を通し伝えたいことを伝える。

 読者は氷雪と青を行き来して、作品一つ一つの大切さや、読み手を意識して書く事の大事さを感じ取って欲しいのかなぁ……と思いました。

 

 また、長々と小説を考察しましたが若輩者の戯言だと読み流してください。

 お付き合いいただき有難うございました。