貴方を思い出すと私は哀しい

呉西しの さんが、綴ったり綴らなかったり。ノベルとか小説とか書いています。御用の方はonisisino@gmail.com まで。HP: http://onisisino.xyz

27綴り 花澤千夏は聡明で美しい ・3

グロあり

自己責任でお読みください。
 
 
 
 
 
 

 

 
 
 長く続く路地を抜けると古びた日本家屋にぶつかった。
 無論こんな建物を俺は知らない。
 十数年間、この道を使ってきたのにもかかわらず、だ。
 千夏は何も言わずインターフォンを押した。
 
 
「この家はなんなんだ?」
 
 
 俺がそう話しかけると、冷たい瞳に睨まれる。
 
「黙ってて」
「はい」
 
 
 俺は話しかけることすら許されないらしい。
 
 
 暫くすると老夫婦が玄関から現れた。千夏を見つけるなり朗らかに笑い、駆け寄ると老婆は千夏を抱きしめた。
 千夏もそれを振りほどこうとはしない。
 
 
 祖父母なのだろうか?
 
 
 なんだか俺に対する冷酷な彼女と、女性に抱かれる彼女はミスマッチで違和感を覚える。
 
 
 でも、人の子なんて所詮はそんなもんなのかもしれない。
 三つにもならない子が母親の見ていないところで虫を殺したりする。
 人間の本質なんて表面上だけじゃわからない。
 俺には冷たくて非道な彼女も本当は愛溢れる女子高生なのかもしれない。
 
 まぁ、痴漢中毒の俺が言えるわけはないが。
 
 
 
 
 ふと、祖父と思われる男性と目があった。
 気まずさも感じつつ、会釈をすると微笑まれる。
 
「あはは……」
 
 頭をかきつつ目をそらすと、近づき肩を叩かれた。
 
「久しぶり。よく来たね。遠かっただろう」
 
 
 どこからツッコんだものか。
 口をあんぐり開けていると女性が手を叩いた。
 
 
「いけないわ。鍋に火をかけっぱなしだったんだったわ。どうぞ、中に入ってちょうだい」
 
「そうだそうだ。あがってらっしゃい」
 
 
 俺は千夏の顔色を伺った。
 祖父母と水入らず。
 そこに俺なんかがお邪魔していいものだろうか?
 
 
 それに何より、『久しぶり』という言葉が妙に引っかかっている。
 
 
「そうね、入りましょうか」
 
 
 彼女は俺に無表情でそう言った。
 
 
ー ー ー ー ー
 
 狂っている。
 一生分のサイコパスを詰め込んだようだ。
 
 見ず知らずの女子高生、千夏。
 その祖父母と思わしき老夫婦と一緒に晩餐を囲んでいる。
 食欲が湧くわけがない。
 なにより何故この老夫婦は手のひらにボールペンが刺さった俺に何も言わないのであろうか。
 この老夫婦故にこの女子高校生ありなのか。
 
 
 先ほどから美味しそうにカレーライスを頬張る彼女を俺は恨めしげに見つめる。
 
 
 その視線に気づいたのか、スプーンを持つ手を止めて、
 
「たべないの?」
 
 と聞いてきた。
 
「お口に合わなかったかしら」
 
 千夏がそんなことをいうものだから女性に心配させてしまったじゃないか。
 
「い、いえ。手を怪我していて、食べにくくて……。すみません、気を使わせてしまって。カレー、凄く美味しいですよ」
 
 と愛想笑いをした。
 
 
ー ー ー ー ー
 
 食事が終わった後、彼女が率先して皿を片付けると言った。
 つられて俺も一緒について行くことになる。
 
 
「なぁ、千夏はいつもそんな感じなのか?」
 
 
 台所に向かう廊下でそう切り出した。
 祖父母とあったにもかかわらず、ちっとも嬉しそうではないからだ。
 
「なんのことかしら」
「その無表情だよ。祖父母もよくそんなんで注意しないな」
 
 
 暫くの沈黙。
 俺はおかしいことを言っただろうか。
 
 
「祖父母……? それは一体誰の事?」
 
 
 
 

 

 
 
 
 
 
出先からで、まとまりがなく申し訳御座いません。
明日も22時更新です。