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貴方を思い出すと私は哀しい

呉西しの さんが、綴ったり綴らなかったり。ノベルとか小説とか書いています。御用の方はonisisino@gmail.com まで。HP: http://onisisino.xyz

28綴り 花澤千夏は聡明で美しい・4

短編 物語

グロ描写あり

自己責任でお読みください。 

 

 

 

onisisino.hateblo.jp

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27綴り 花澤千夏は聡明で美しい・3は

出先で書いたため色々文章が狂ってしまっています。

申し訳ございません。

今週中に直す予定です。

 

 

 

 

 

 

「祖父母……? 一体それは誰の事かしら?」
 
 彼女はシンクに皿を置くと、困ったように頬に手のひらを当て小首をかしげて見せた。
 本当に知らないようだ。
 
 
 祖父母ではない?
 親戚? 知り合い?
 なんでもいい。
 
 
 でも、そう、確かに。
 彼女は一言も彼らを俺に祖父母だとは言わなかった。
 俺の勝手な思い込みだ。
 
 
 そんな事を考えている内に、彼女は腕をまくり皿を洗い出した。
 スポンジに洗剤を染み込ませ、泡立たせていく。
 
 
「俺は、乾拭きするよ」
 
 未だ血が止まらない右手で綺麗に拭けるかどうかはわからないが。

 無造作に置かれていたハンドタオルを左手で手に取り、彼女が洗い終わるのを待つ。
 ふと、ただなんとなく、彼女の手元を見た。
 

 彼女の両腕が、ひび割れている。
 腕まくりをした腕から手首にかけて、ガラスを傷つけたようなひびとも言うべき傷跡がくっきりといくつも刻まれていた。
 俺は目を見張り、しかし、彼女に悪いと思って目を伏せる。
 
 
 なんなんだ。
 いったい彼女は何者なんだ。
 
 俺は彼女に脅されるがままに、ここまでついてきた。
 
 
 あの時、彼女を見つけて変な気さえ起こさなければよかった。
 あの時、あの路地を通らなければよかった。
 
 
 
 いや、そもそも俺が……痴漢を辞めてさえいれば。
 
 
 
 いや、もっと根本的に警察官になんてなっていなければ……彼女に識別番号で脅されなかっただろうに。
 

 そう、彼女は俺の警官識別番号を知っていた。
 それから察するに、彼女は俺の事を以前から知っているということだ。
 彼女に俺が痴漢をしようとしたことをばらされてはいけない……。
 なぜなら俺は過去に、数度過ちを犯しているからだ。
 
 もう、これ以上は――
 
 
「ねぇ」
 
 
 彼女が不意に声をかけた。
 
 
「早く皿を拭いてくれないかしら?」
 
 
 俺の目の前に濡れた皿をひらひらと振ってみせた。
 彼女の傷跡が目の前に映る。
 彼女に悪いと思いつつも俺は、じっと見つめてしまった。
 
 
「これが気になるっていうの?」
 
 ふ、と笑う。
 
 
「いや、あの……痛そうだなって」
 
 
 それは凄くバカっぽい返答だった。
 彼女の腕のそれは、もう傷“痕”だ。
 それに何より、手のひらにボールペンが刺さった奴がいうとなんだかシュールだった。
 
「痛くなかったわ」
 
 彼女は少しもそんな俺を馬鹿にせず、変わらない無表情でそう言った。
 
「もっと痛いこと、私、知っているもの」
 
 そう、伏し目がちに続けていう。
 その姿はなんだか、悲しそうだった。
 
 
 いや、思えば、彼女の表情は十分に表現していたのかもしれない。
 すこし、わかりにくいだけで。
 
 
 
 出会った時は、少し怒っていた気がする。
 俺を踏みつけたときは少し楽しそうで、老婆に抱きしめられた時は……。
 
 
 
 
 
 突然、鐘の音が鳴った。
 それがすぐに、玄関に置いてあった古時計の音だとわかる。
 と、言うことは深夜0時になったということだろうか。
 
 
「さ、行くわよ」
 
 
 彼女が唐突にそういって、洗っていた皿をそのままシンクに戻した。
 
 
「え、ちょっと!」

 
   俺はシンクと彼女を交互に見た。

 
「この家の、本当の持ち主に会いに行くわよ」
 
 
 彼女はそう言いながらまくっていた袖を戻す。
   まったく言っている意味がよくわからない。
 
 
 
 
 

 

 

明日も、22時を予定しております。

ちなみに警察官の識別番号ですが、アルファベット2文字、数字3文字です。

バッチと警察手帳に書いてあるそうです。

フィクションなので、少し数字を増やしています。