貴方を思い出すと私は哀しい

呉西しの さんが、綴ったり綴らなかったり。ノベルとか小説とか書いています。御用の方はonisisino@gmail.com まで。HP: http://onisisino.xyz

29綴り 花澤千夏は聡明で美しい・5

 

 

グロあり

自己責任でお読みください。

 

onisisino.hateblo.jp

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 なんということだろう。

 千夏は家の中をずかずかと歩いていく。

 俺の手を握りながら。

 

 この家の本当の持ち主とは一体何なのだろうか。

 

 

「なぁ……」

 

 彼女に声をかけると、ぎろりと睨まれた。

 

「静かに」

 

 そういうと彼女は扉が開いている部屋に俺を引きづり込んだ。

 

「足音がするわ」

 

 扉を完全には締めず、俺にも覗くようにして見せた。

 足音がするのは当然だろう。

 俺達の他に、老夫婦が住んでいるのだから。

 

 ギシリ、ギシリと迫ってくる。

 思わず息を飲んだ。

 

 

「居たか?」

 それは旦那の声だった。

 だがあの優しそうな顔からは想像がつかないような低い声だ。

 

「いや、居ない」

 次は老婆が答えた。

 手にはなぜか、包丁を持っている。

 

「台所には居なかったのか?」

「居なかった」

「どうやらここの孫ではないらしい」

「親戚でもないらしい」

「どうする?」

「どうしよう」

 

 

 老夫婦は顔を見合せてそう言い合っている。

 その声は段々と呂律が回らなくなっていく。

 

「ばれたくないなぁ」

「もどりたくないなぁ」

「はやく、しまつしよう」

「そうしよう」

 

 冷たい汗が俺の頬を伝った。

 恐怖で一ミリも動かすことは出来ない。

 老夫婦が顔を見合わせ、頷いた。

 そのまま、ふた手に別れ目の前を離れていく。

 

 

 

 

「もういいわよ」

 

 彼女は何でもないように扉を開けた。

 

「なんなんだよ、今の」

 

 彼女はその問いに答えなかった。

 

「地下に行くわよ」

 

 ただ、そう冷たく言っただけだった。

 

 

 

ー ー ー ー ー

 

 やはり彼女はおかしい。

 

 

 彼女は「地下に行こう」といって、はじめから知っていたように地下へ続く床下の階段を見つけた。

 声を出すと老夫婦に見つかってしまいそうだったので、何も聞けないでいたが、扉を締め、階段を降りたところで俺は彼女に尋ねることにした。

 

「なあ、もういいだろ。千夏。お前は一体何なんだ」

 

 その問いはあまりにも抽象的すぎた。

 しかし、答えてくれるという保証もない。

 この問いは、自己満足にすぎなかった。

 

 

「何って何?」

 

 答えてくれないと思っていたが、彼女はゆっくりと振り向いて、俺を見た。

 出会った時のように、耳に髪をかけながら。

 

 

「何って、全部だよ。なぜ俺の識別番号を知っている? あの老夫婦は何だ? この家はお前のなんだ?」

 

 言葉が止まらない。

 

「お前は……お前は何なんだよ」

 

 

 

 

 

 

 また明日の22時に