貴方を思い出すと私は哀しい

呉西しの さんが、綴ったり綴らなかったり。ノベルとか小説とか書いています。御用の方はonisisino@gmail.com まで。HP: http://onisisino.xyz

雑記 人間はゴミと生活している

短編にしようかと思ったのですが、雑記にしました。

 

 

 

 

最近、会社にまたいつもとは違う仕事が入った。

内部的なものなので色々省いたり、ぼやかしたりするけれど。

 

次は家のゴミ出しの仕事だった。

家の中にあるすべてのものを破棄するらしい。

会社の本業ではないのだけれど、金額が金額だけに引き受けたと上司は言っていた。

私にも作業に加わってほしいとのことだった。

私のメインは事務なのだが、 売り上げや目標などを定める業務も行っているので、その仕事が本業ではないにしろ、結構な額が会社の利益になるのは単純に嬉しかった。

なんでも、他社がその“ゴミ出し”を見積もりした金額は200万円だったという。

うちはその金額よりも安く見積もりをだし、契約をしたのだそうだ。

 

2トントラックはいくらでも借りられたし、会社の人員を出せるだけだしたとしても、利益がでる。

私は電卓を叩きながら、取らぬ狸のなんとやらだった。

 

 

場所は山奥の一軒家。

立地や諸々問題があって余所は高額な見積もりをしたんだろうと踏んだ。

因みに補足をすると、この家で誰かが亡くなったわけではない。

病院で息を引き取ったそうだが、家主が亡くなった後10年ほど親戚一同が放置していたのだと言う。そろそろ家も手放そうかということで荷物の破棄を頼んだとのことだ。

 

 

家の中は酷い有様だった。

 

例えるならそう、沈没船だ。

住む人がいなくなり、全てが置き去りにされ廃れて、腐り果てる。

食べ物も、何もかもがそのままだった。

分厚い埃が、ハウスダストアレルギーの私にとってきつかった。本当にマスクをしてきてよかったと思う。

 

 

10人で分別し、ゴミをトラックに積んでいった。

凄い量だった。

きっとお金持だったのだろう。

ソファや皿、倉庫にあるガラクタは、きっとその当時、それなりの値段がしたんだろうと思う。

しかし、今やただのゴミである。

 

私は書斎に入った。

そこには沢山の珍しい本があった。

ざっとみても200冊以上。

ビニールテープでまとめるのが大変だった。

きっとこれも購入すれば凄い金額なのだろう。

 

私は一つの本を手に取った。

某有名な作家の復刻版。

凝った厚紙の半箱に入っている。

「珍しい」

私は他のスタッフが居ないことを確認し、そっと半箱から本を取り出した。

紛れもなく、新品だった。

なぜならば、パラフィン紙の状態がいいのもさることながら、アンカットであり、おり目もなかったのだから。

実にもったいない。

 

でも、これも全てゴミなのだ。

 

 

 

私はその日、仕事を終えて家に帰るとふと自分の部屋を見渡した。

今まで散々色々なことにお金を使ってきた。

その全てが、私が死ねばゴミになりうるのだ。

いや、いま生きる全てのものがゴミなのかもしれない。

街をはしる車もいつかはゴミになり、ガードレールも、自動販売機も、全てがゴミになる。

 

そして、あの見積もりのように次はゴミに200万円を請求されるのだ。

 

 

 

そう思うと私は、死ぬまでにすこしずつ、整理していこうと思った。