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50綴り 言葉だけじゃん

短編で

フィクションです。

 

 

 

 

 深く沈んでいく。

 比喩ではなく物理的に。

 

 

 その日は酒のようにツンとくる深い水たまりの散策だった。

 それが私の仕事だ。

 水たまりの言葉を読み取り、気持ちよくなる簡単なお仕事。

 

 でも、今日は気分が乗らない。

 水たまりに足をつけるとヒリリとした。アルコール成分が高いらしい。

 

 私は意を決して水たまりへと飛び込んでいった。

 

 今日の現場はやたらと文字が多い。

 それも意味のないことを、延々とつらつらと。

 

 その人にとっては楽しいことも、誰かにとっては苦痛なだけだ。

 

 この酒みたいな水たまりも誰かにとってはご馳走だ。

 私にとっては医療用のアルコールと変わらない。

 

 どんどん沈んでいく。

 木の机が底に沈んでいた。

 どうやら物語の終わりが近づいてきたらしい。

 

 私はやっとの思いで底に足をついた。

 机の上には赤いクレヨンのような素材で「おわり」と書いてあっただけだった。

 

 

おわり

 

酔っているのは私か

_(┐「ε:)_